【鍼と骨折(ヒビ)】
こんにちは、ますぶち治療院です。
ふだん鍼灸院で骨折を扱うことは、ほとんどありません。
接骨院・整骨院・整形外科の領分です。
しかし鍼治療は骨折に伴う症状を軽減することに役立ちます。
というかどんな治療でも骨をすぐに修復できません。
できることは骨がくっつきやすいように固定して、自然に治るのを待つだけです。
そう考えると骨折そのものよりも、骨折による不快な症状を軽減することが重要だといえます。
骨がくっつくまで、その後のリハビリまでを快適に過ごせれば、心身の負担は少ないでしょう。
QOL(生活の質)の維持が第一です。
というわけで骨折(ヒビ)に対する鍼治療のお話です。
今回は尾骨(尾てい骨)を強打してヒビが入ってしまった症例です。
他の症状で通院されていた方で、その流れで施術することになりました。
当院の前に整形で診ていただいています。
そこでは痛み止めを処方されただけで特に手当てはなかったそうです。
場所が場所だけに固定もできず、できることがなかったのではないでしょうか。
骨折ではない尾骨周辺の痛みには、活法の「尾骨出し」という技で対処します。
これは尾骨に触らず矯正するスゴ技です。
それでも今回は危険かもしれませんから整動鍼法(鍼)を選択しました。
症状は座りで尾骨が椅子に触れていたり、歩くときの痛みです。
それが施術終了後にはずっと軽減します。
1回目より2回目、2回目より3回目と回を重ねるごとに軽減していきました。
ヒビ自体は消せませんから加重で少し痛むのは仕方ありません。
それでも施術前よりずいぶん楽になっているようです。
QOLの維持という目標は達成できたと思います。
施術は尾骨周囲の筋緊張を緩めただけです。
押して硬く痛むところを手足のツボを使い、遠くから緩めました。
お尻には1箇所しか鍼をしていません。
骨は筋肉で引っ張られます。
筋肉の余分な緊張を緩めてあげると、骨は引っ張られ過ぎずに済みます。
そうすると余分に痛まずに済むわけです。
一見、鍼では無理そうな症状でも、使い方によって貢献できることがあるのです。
増渕 一成 (鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師)
栃木県鹿沼市出身
趣味は読書、熱帯魚、落語鑑賞。
活法研究会の提唱する碓井流活法(整体)と整動鍼法を施術の2柱としている。
活法研究会会員。
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