【アロマの話】(前編)
今回はアロマ、そして広く香りのお話です。
香りを用いたリラクゼーション・施術をアロマテラピーといいます。
アロマはギリシャ語で香草の意味です。
香料が歴史に現れたのは紀元前3000年頃の古代エジプトで、ハーブティーやハーブオイル。
ミイラ作りには乳香が使われていました(アロマテラピー検定より)。
紀元前3000年頃はエジプト古王国時代の初め頃です。
ピラミッドが作られるようになるのはその500年後です。
人類と香料の付き合いはピラミッドよりも古いのですね。
ミイラ作りに使われた乳香は樹液が固まったものです。
燃やすと良い香りがする松ヤニみたいなものです。
乳香は南部アラビアやソマリアとの海洋貿易で輸入されていました。
現在でも取引されている交易品です。
当時、香料の重要な用途は祭祀でした。
乳香もエジプトのお墓から発見されています。
現在でもお寺や教会で儀式に使われているのはご存知の通りです。
香りはシュメール人も祭祀で重要視していました。
シュメール人はメソポタミア(ギリシャ語で川の間という意味。チグリス川とユーフラテス川)で高度な文明を築いた人々です。
文字や暦・車輪を発明したのは彼らです。
1年を12ヶ月に分け、1日を24時間に、1時間を60分に、1分を60秒に分けたのもシュメール人です。
メソポタミアでは紀元前4000年頃には灌漑農業を営む都市国家が栄えていました。
そこでは天上の神々への祭祀を行う巨大な祭壇が建設されました。
ジッグラト(階段状ピラミッド)は旧約聖書に記されたバベルの塔のモデルで、エジプトのピラミッドよりも数百年も前に作られました。
メソポタミアの神々(ディンギル)は都市ごとの守護神でしたが、人口が増え都市が巨大化するにつれてメソポタミア全土の偉大な神々として崇められるようになりました。
神々は怒ると地震や洪水を起こし人間を懲らしめます。
(この洪水が旧約聖書の大洪水、ノアの方舟のモデルです)
神々を怒らせないように供物を捧げることは支配者の大切な仕事でした。
天に近いジッグラトで供物を燃やし、神々のいる天上へ香りを届けようとしました。
古代メソポタミアには神罰の洪水で人々が飢え、供物が滞ると神々もひもじくなり、やっと捧げられた供物に群がる、という(ちょっとマヌケな)詩が残っています。
神々は 香りを嗅ぎ給い
旨き 香りを嗅ぎ給い 蠅の如く
神々は 贄に群れ集う
日本仏教では線香で先祖の霊を慰めます。
霊は香りを食べるという考えからです。
8月は旧暦のお盆月です。
普段お線香をあげる機会のない方もご先祖様にご馳走を差し上げてはいかがでしょうか。
(後編に続く)
増渕 一成 (鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師)
栃木県鹿沼市出身
趣味は読書、熱帯魚、落語鑑賞。
活法研究会の提唱する碓井流活法(整体)と整動鍼法を施術の2柱としている。
活法研究会会員。
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